Bang & Olufsen Beolab 28 / 20畳のリビングでのレビュー

サマリー

Bang & Olufsen Beolab 28 は、デザインと音響を高次元で両立させたハイエンド・アクティブスピーカー。
家具のような美しい外観と、27Hzまで沈む低域からクリアな高域まで幅広く再生できる性能を持ち、20畳のリビングを余裕で満たす音響体験を実現します。
Beam Width Control による「広がり感」と「集中感」の切替、Room Compensation による部屋補正、そしてAirPlay 2やChromecastなど豊富な接続性。
**「デザインも音質も妥協しないリビングスピーカー」**として唯一無二の存在です。


レビュー前提条件

本レビューは以下の環境を前提としています。

  • 部屋サイズ:20畳リビング(約33m²)
  • 建物構造:RC造マンション(鉄筋コンクリート造)
  • 窓の条件:窓面積が広めのダイレクトウィンドウ仕様(ガラス反射高域の影響あり)
  • 普段の用途
    • 在宅ワーク
      • 作業中の音環境
      • オンラインミーティング
      • IoT研究・開発(アプリ連携や音声操作研究)
    • 映画
      • 家族での映画・ドラマ視聴
      • 個人での映画鑑賞(サラウンド体験重視)
    • ゲーム
      • FPSでのオンライン対戦(定位感・方向感重視)
      • オープンワールドでの没入体験
    • 音楽鑑賞
      • 来客時のBGM再生(部屋全体に広がる音)
      • クラシック・ジャズなどの音楽鑑賞

この条件では、

  • 高域反射がやや強く明るめの音像になりやすい
  • 低域は壁と床でしっかり受け止められ量感が出やすい
  • 広がりと迫力は出やすいが、静かな場面の繊細さも試される

技術仕様 ― 数値で見る性能

  • ドライバー構成(1本あたり)
    • 1″ テキスタイルドーム・ツイーター ×1
    • 3″ フルレンジ ×3
    • 6.5″ ウーファー ×1
  • アンプ出力(1本あたり)
    • ツイーター:100W Class-D
    • フルレンジ:各100W Class-D
    • ウーファー:225W Class-D
      → 合計 625W/本、ペアで1,250W の大出力
  • 再生周波数帯域:27Hz – 23kHz
  • 最大音圧レベル:110dB SPL(ペア)
  • 推奨ルームサイズ:15–50m²(約9~30畳)
  • 接続端子:光デジタル入力、ライン入力(RCA)、Ethernet、Wireless Power Link
  • 無線規格:AirPlay 2、Chromecast、Spotify Connect、Bluetooth 5.0
  • 寸法/重量:高さ137cm × 幅25cm × 奥行25cm、重量18.6kg/本

デザイン性 ― 家具と調和する美学

  • 北欧デザインらしいミニマルさと、天然木の温かみ。
  • スラットが開閉するギミックは所有欲を満たす演出。
  • 床置き・壁掛けどちらにも対応し、部屋のレイアウト自由度が高い。

“見せるスピーカー”という点で唯一無二の存在感があります。


20畳リビングでの音体験

低域(27Hz~80Hz)

  • 床を押すように響きつつ、タイトでスピード感のある低音。
  • 20畳程度では過剰なブーミー感は出にくく、むしろ心地よい余裕を感じる。

中域(80Hz~2kHz)

  • ボーカルが前に定位し、楽器の分離も明確。
  • 小音量でも芯を失わず、BGM用途でも心地よい。

高域(2kHz~20kHz)

  • 滑らかで伸びやか。
  • シンバルや弦楽器の余韻が美しく、長時間聴いても耳疲れしない。

広がり感 ― モードで変わる音場

  • Wide:20畳全体を包み込む。リビング全体をBGMで満たす用途に最適。
  • Narrow:ソファのリスニングポイントに音像が集中。没入型のリスニングに好適。

サラウンド性 ― 準シアター級の没入体験

  • セリフは中央に定位し、効果音は左右にワイドに展開。
  • Atmos専用システムには劣るが、サウンドバー以上・本格サラウンド未満の立体感。
  • 20畳リビングでも音量・迫力ともに余裕。

操作性・接続性

  • 操作性
    • 上部タッチパネルで直感的操作。
    • 丸型リモコン「Beoremote Halo」は美しいデザインでインテリア性も高い。
    • B&O アプリでBeam Width切替やEQ調整が可能。
  • 接続性
    • AirPlay 2、Chromecast、Spotify Connect対応。
    • Bluetooth 5.0でゲスト端末からも即再生。
    • 光入力やRCAでテレビやターンテーブルとも接続可。
    • マルチルーム機能でB&O製品全体と音を同期。

強みと弱み

強み

  1. 家具級デザインと高音質の両立
  2. 27Hzまで沈む低域と余裕の出力
  3. Beam Width Controlによる広がり調整
  4. AirPlay 2やChromecastなど豊富な接続性
  5. Room Compensationで部屋に最適化

弱み

  1. 価格が非常に高額
  2. 真のサラウンド再現には限界
  3. 設置環境に敏感
  4. 上位機種に比べると高域の“空気感”は控えめ

実測・数値イメージ(20畳環境)

  • 実効音圧:95~100 dB(3~4m距離でも余裕あり)
  • 周波数特性:30Hz~20kHz ±3dB(Room Compensation使用時)
  • 歪率:100Hz以上で0.5%未満
  • 残響時間(RT60):0.5~0.7秒(家具あり20畳リビング)

耐久性・将来性

  • アルミと天然木の堅牢な構造で物理的に長寿命。
  • ソフトウェアアップデートで新しいストリーミング規格にも対応可能。
  • 修理やモジュール交換にも配慮された設計で、10年以上の利用も視野に入る。

日常使用感 ― 朝・昼・夜・深夜

  • 小音量でも音の輪郭が崩れず、ニュースやクラシックBGMが心地よい。
  • タッチパネルで素早く操作でき、朝の忙しい時間にも扱いやすい。

  • Wideモードでリビング全体を音楽で満たしながら家事や在宅ワーク。
  • 音が部屋の隅々まで自然に届き、作業に集中できる。

  • 家族で映画鑑賞。セリフはクリアで、効果音は迫力十分。
  • サラウンド感は本格シアターに迫る没入感で、20畳リビングを“映画館化”。

深夜

  • ボリュームを絞っても高域・中域の解像感は失われず、小音量リスニングでも満足度が高い。
  • Room Compensationのおかげで低域も暴れず、近隣に配慮した深夜リスニングが可能。

競合比較 ― Beolab 28 vs ライバル機

KEF LS60 Wireless

カテゴリ:ワイヤレス・アクティブスピーカー

  • デザイン性
    スリムな“タワー型”でリビングに置きやすいが、モダンな工業デザイン寄り。家具としての美しさはBeolab 28の木材+アルミの組み合わせが勝る。
  • 音質
    • 低域:Uni-Core技術で小型ユニットながら30Hz付近まで伸びる。ただしBeolab 28の27Hzと比べると沈み込みと物理的な余裕は劣る。
    • 中域/高域:同軸ドライバーにより定位が正確。ボーカルや弦楽器の自然さは高評価。
  • 広がり感
    LS60は指向性がやや広めに設定されているため部屋全体をカバーしやすい。ただしBeolab 28のようにWide/Narrowを切り替える柔軟性はない。
  • サラウンド性
    ステレオとしての包囲感は十分だが、映画用途では低域の迫力に欠ける面あり。Beolab 28のほうが“シアター的体験”に優れる。
  • 操作性・接続性
    HDMI eARCを備えてテレビ連携に強い。ストリーミング機能も豊富。ただしUIやアプリの洗練度はB&Oアプリの直感性に軍配。
  • 価格・使い勝手
    Beolab 28より安価で導入しやすい。コストパフォーマンスは高いが、デザイン性やブランド所有欲を求める人にはBeolab 28が優位。

Bowers & Wilkins 804 D4

カテゴリ:ハイエンド・パッシブスピーカー

  • デザイン性
    高級感のある仕上げだが、あくまで伝統的なスピーカー然とした外観。家具的な存在感ではBeolab 28に劣る。
  • 音質
    • 低域:ウーファー2基による伸びや力感はあるが、アンプ性能に依存。Beolab 28のように一体型で安定して再現できるわけではない。
    • 中域/高域:ダイヤモンドドーム・ツイーターの解像度は抜群で、Beolab 28よりも透明感・空気感では上。
  • 広がり感
    ピュアオーディオ的な定位の正確さは素晴らしいが、Beam Width Controlのようなリビング空間向けの調整は不可。環境次第で左右されやすい。
  • サラウンド性
    映画用途に使うには別途センター/サラウンドスピーカーが必須。単体での没入感はBeolab 28が優位。
  • 操作性・接続性
    アンプやDACが別途必要で、シンプルにスマホから再生できるBeolab 28と比べて利便性で大きく劣る。
  • 価格・使い勝手
    単体価格はBeolab 28と同等〜やや安いが、周辺機器を揃えると総額はむしろ高くなる。純粋に音を追求する“ピュア派”向け。

Beolab 50

カテゴリ:B&O上位フラッグシップ・アクティブスピーカー

  • デザイン性
    こちらも木材スラット+アルミのデザインでB&Oらしいが、サイズが大きくリビングには圧迫感が出やすい。Beolab 28のほうが生活空間には自然に馴染む。
  • 音質
    • 低域:10インチウーファー内蔵で15Hz台まで伸びる。20畳ではオーバースペック気味。
    • 中域/高域:アコースティックレンズを備え、音の解像度と広がりはB&O最高峰。Beolab 28を凌駕するが、価格差も大きい。
  • 広がり感
    指向性制御(Beam Width Control)はさらに高度化され、部屋のどこにいても理想的なサウンドを作り出す。
  • サラウンド性
    映画再生時の包囲感は圧倒的。ただし20畳リビングで使うとパワーが有り余り、音量を持て余す可能性あり。
  • 操作性・接続性
    Beolab 28と同様にストリーミング・マルチルームに対応。ただし重量や設置制約で気軽に扱える機器ではない。
  • 価格・使い勝手
    価格はBeolab 28の約2倍以上。真のハイエンドを求めるなら選択肢になるが、多くのユーザーにとっては28で十分。

総括:競合との位置づけ

  • KEF LS60 Wireless
    → コストを抑えつつスマートに楽しみたい人向け。音質は優秀だが、インテリア性と低域の迫力でBeolab 28が上。
  • Bowers & Wilkins 804 D4
    → 純粋にオーディオ性能を追求するピュア派向け。解像度は高いが、利便性や日常使用感ではBeolab 28が勝る。
  • Beolab 50
    → 圧倒的性能を誇るB&Oフラッグシップ。だが20畳リビングでは過剰で、現実的にはBeolab 28が“最適解”。

結論として、**Beolab 28 は「デザイン」「操作性」「日常使いの快適さ」「リビングに最適な音量感」を兼ね備えたバランス型」**であり、競合と比較しても独自のポジションを確立しています。


Beolab 28 が向く人・向かない人

向く人

  • デザインも音質も妥協したくない
    → 家具的美しさと本格オーディオ性能を両立させたい人。
  • 20畳前後のリビングで使う
    → 推奨サイズ範囲内で、音量・低域ともに余裕を持って楽しめる。
  • 映画も音楽も同じレベルで楽しみたい
    → サウンドバー以上、ホームシアター未満の迫力と臨場感を1ペアで得たい人。
  • 家族や来客とシェアする
    → Wideモードで部屋全体を音で満たし、日常BGMにも最適。
  • 直感的に使えるハイエンド機が欲しい
    → タッチ操作やアプリ連携で難しい設定をせずにすぐ使いたい人。
  • 長く使える投資をしたい
    → デザインが古びず、アップデートで将来性も担保される製品を求める人。

向かない人

  • 価格を最重要視する人
    → 高級機のため、コストパフォーマンスだけを重視するなら他選択肢が適切。
  • 小さな部屋で使う人
    → 10畳以下だと低域が過剰で扱いにくい可能性。
  • 本格サラウンドを求める人
    → 5.1chやAtmos環境のような背後・天井からの音を必須とする人には不十分。
  • “音質最優先のピュア派”
    → 純粋な解像度や空気感ではB&W 800シリーズやBeolab 50以上に分がある。
  • 頻繁に機材を買い替えたい人
    → 長期投資に向いたモデルなので、短期で買い替えるスタイルには合わない。

総合評価

Beolab 28 は、「音もデザインも妥協しないリビングスピーカー」として極めて完成度が高い製品です。

  • 音楽再生では、低域の迫力と広大な音場。
  • 映画では、サウンドバーを超える没入感。
  • 日常使用では、朝から深夜までシーンに応じた快適なリスニング体験。

20畳リビングという条件下で、その性能を最大限に発揮。価格の高さはあるものの、所有する喜びまで含めた満足度は非常に高い一台です。