サマリー
Beosound Theatre は B&O が「これまでのサウンドバーを超える」ことを目指して設計されたプレミアム Atmos 対応サウンドバー。
800W を超えるアンプ出力と 12 個のカスタムドライバーを備え、明瞭なセンターチャネル再生、迫力の低域、広がるサウンドステージを届けるパワフルなモデル。
また、LG OLED TV との統合性、アルミ&オーク材などの高級素材、将来性のあるモジュラー設計など、「性能だけでなく所有体験」も重視する人向け。
**「映画体験を TV の前で本格的にしたいが、一式 AV システムまでは求めない人」**にとっては最も近い選択肢のひとつ。
レビュー前提条件
本レビューは以下の環境を前提としています。
- 部屋サイズ:20畳リビング(約33m²)
- 建物構造:RC造マンション(鉄筋コンクリート造)
- 窓の条件:窓面積が広めのダイレクトウィンドウ仕様(ガラス反射高域の影響あり)
- 普段の用途:
- 在宅ワーク
- 作業中の音環境
- オンラインミーティング
- IoT研究・開発(アプリ連携や音声操作研究)
- 映画
- 家族での映画・ドラマ視聴
- 個人での映画鑑賞(サラウンド体験重視)
- ゲーム
- FPSでのオンライン対戦(定位感・方向感重視)
- オープンワールドでの没入体験
- 音楽鑑賞
- 来客時のBGM再生(部屋全体に広がる音)
- クラシック・ジャズなどの音楽鑑賞
- 在宅ワーク
この条件では、
- 高域反射がやや強く明るめの音像になりやすい
- 低域は壁と床でしっかり受け止められ量感が出やすい
- 広がりと迫力は出やすいが、静かな場面の繊細さも試される
技術仕様 ― 数値で見る性能
- ドライバー構成:計12基(6.5インチウーファー×2、5.25インチミッド+1インチツイーターの同軸センター、3インチミッド×2、2.5インチフルレンジ×4、1インチツイーター×2)
- アンプ出力:合計約800W(低域用2×100W、その他10チャンネル×60W)
- 再生周波数帯域:28Hz~23kHz
- 最大音圧レベル:約112dB SPL
- 推奨部屋サイズ:15~60㎡(約9~36畳)
- 接続端子:HDMI入力×3、HDMI eARC出力、USB-C(アナログ入力用)、Ethernetスイッチ×4
- 無線規格:Wi-Fi(デュアルバンド)、Bluetooth 5.1、AirPlay2、Chromecast、Spotify Connect
- 対応フォーマット:Dolby Atmos、Dolby TrueHD、Dolby Digital Plus など
デザイン性 ― 高級感と家具性の両立
- 船の竜骨を思わせる造形で、アルミと木材の組み合わせが美しい
- フロントカバーはオークスラットまたは布製から選択可能
- LG OLEDとの統合デザインで、テレビと一体化した美観
- 近接センサー搭載のタッチパネルは高級感と操作性を両立
20畳リビングでの音体験
低域(27Hz~80Hz)
- 28Hzまで伸び、映画や音楽の重低音も余裕。床・壁で量感豊かに響く
中域(80Hz~2kHz)
- センタードライバーによりセリフが極めて明瞭。ボーカルの存在感も強い
高域(2kHz~20kHz)
- 鮮やかでシャープ。窓面の反射でさらに明るめに聴こえる場面あり
広がり感・音場表現
- 7.1.4構成により横方向・高さ方向の広がりが優秀
- 前方~上方向の空間は大きく感じられるが、背後の包囲感は仮想処理中心
サラウンド性 ― 映画用途での没入感
- Dolby Atmos映画では効果音が前方・上方向に広がり没入感大
- セリフ明瞭性が非常に高く、ドラマ・ニュース視聴にも最適
- 背後方向のサラウンド感は追加スピーカーで補うとより理想的
操作性・接続性
操作性
- 近接センサー+タッチパネルで直感操作
- B&Oアプリでルーム補正(RoomSense)やEQ調整が可能
接続性
- HDMIパススルーは4K/120Hz、8K/60Hz対応で最新TVとも相性良好
- ストリーミング各種(AirPlay2、Chromecast等)に対応
強みと弱み
強み
- セリフ再生の明瞭さが非常に高い
- フロント・サイド・アップファイアリングによる空間表現
- 将来性(WiSAや他のB&Oスピーカー拡張に対応)
- 高級素材と家具としての美観
- 接続性が豊富で最新規格に対応
弱み
- 価格が非常に高額
- 背後・リアサラウンドは仮想中心
- サイズが大きく設置スペースに制約あり
- 静かな音楽再生ではオーバースペック気味
実測・数値イメージ(20畳環境)
- 実効音圧:100~105dB(3~4m距離で迫力十分)
- 周波数特性:28Hz~23kHz(RoomSense補正後 ±3~4dB)
- 歪率:中高域で1%未満、低域は大音量時に共鳴が出る場合あり
- 残響時間:0.5~0.8秒(家具+カーテンで低域調整可能)
日常使用感 ― 朝・昼・夜・深夜
朝
- ニュース・ドラマのセリフが明瞭。小音量でも聞きやすい
昼
- 映画や音楽をBGMに、広がりのあるサウンドで家事・作業が快適
夜
- Atmos映画で本領発揮。20畳リビングが“簡易シアター”化
深夜
- 音量を抑えてもセリフ明瞭。低域は補正で制御しやすい
チェックリスト ― Beosound Theatre が向く人・向かない人
向く人
- 映画体験を重視する
- 大画面TVを使っている
- セリフ明瞭性を最優先する
- 将来拡張(リアスピーカー追加)を考えている
- デザインも重視したい
向かない人
- 静かな音楽再生が中心
- 小型家具や限られたスペースしかない
- コストパフォーマンスを最優先したい
- 既に本格的なサラウンドシステムを持っている
総合評価
Beosound Theatre は「サウンドバー」というカテゴリを超え、20畳リビングで映画を中心に楽しむユーザーにとって理想的な一台。
セリフの明瞭性、空間表現、拡張性に優れ、家具としての存在感も高い。
高価格ではあるが、“映画館体験をリビングに持ち込む”という目的において唯一無二の完成度。