はじめに:目的と期待
高級ディーラーのイベントへの招待が多く、そんなイベントにも履いていけるような靴が必要なため、今回はこちらにしました。既製靴では満たせないフィット感や存在感を求め、選んだのは世界的に知られる John Lobb(ジョンロブ)。
丸の内の店舗で採寸し、自分仕様の一足をオーダーしました。納品までに半年以上を要するプロセス。待ちに待ったその日を迎えたとき、期待と緊張が入り混じる体験となりました。
店舗での採寸と仕様決定
店舗では、担当スタッフが丁寧に足を測定。長さ・幅・甲の高さ・踵の形まで細かく数値を取り、最適なラストを選びます。
仕様は革の種類や色、ステッチの仕上げ、ソールの形状や厚みなどを相談しながら決めていきました。クラシックでフォーマルなシーンに映えるデザインをベースに、自分らしさをさりげなく反映させています。
制作と長い待ち時間
John Lobb の靴は数百工程に及ぶといわれる手仕事を経て仕上げられます。木型の調整、革の裁断、縫製、底付け、仕上げ――いずれも熟練職人の手に委ねられ、完成までに半年以上を要しました。
待っている間は「どんな仕上がりになるのか」という期待と、「本当に自分の足に合うのか」という不安が入り混じる時間でした。
納品と初見の印象
ようやく受け取ったその一足。箱を開けた瞬間に漂う革の香り、目の細かいステッチや端正なフォルムには、ため息が出るほどの完成度を感じました。
ただ、初めて足を通したときに感じたのは「見た目以上のタイトさ」。甲や踵まわりがしっかり作り込まれており、フィット感というより“硬さ”が先に立ちました。
履き始めて気付いた現実
実際に履いて歩いてみると、理想と現実の差を痛感しました。
- つま先はややタイトで、長時間歩くと指が圧迫される
- 踵のホールド感が強く、硬さが抜けるまでに痛みを伴う
- 横方向のフィットが固く、足に馴染むまで時間がかかる
「履けば履くほど馴染む」という言葉は本当ですが、最初の数回は決して快適とは言えませんでした。
他の事例と参考情報
John Lobb に限らず、ビスポークやオーダーメイドの靴は「初回は完璧にフィットしない」という声が多くあります。
- 最初の一足は革が硬く、調整が必要になることがある
- 仮合わせや追加補正を重ねることで徐々に理想に近づく
- 継続的に同じメーカー・職人に頼むことで、次のオーダー時に改善が反映される
実際、他のビスポーク靴体験記でも「最初は痛いが、時間をかけて馴染ませていくもの」と書かれていることが多いです。
なぜこうなるのか
原因として考えられるのは、以下のような点です。
- 革の仕上げが堅牢で、柔らかくなるまで時間がかかる
- 木型の微妙なズレや左右差の補正不足
- 足の動きと靴の屈曲点がまだ一致していない
これらは使い込むことで改善される場合もありますし、追加の調整やインソールで補うことも可能です。
総評:高級靴をオーダーするということ
John Lobb のオーダー体験は、見た目の完成度と所有する喜びでは期待以上。しかし、履き心地に関しては「すぐに理想通り」とはいきませんでした。
オーダー靴の現実は、時間と調整を重ねて“自分の靴に育てていく”ということ。
初めてオーダーする人へのアドバイスとしては:
- 仮合わせや調整は妥協せずに行う
- 最初の1〜2か月は短時間の履き慣らしを意識する
- 痛みや違和感があれば早めに店舗で相談する
それでも、半年以上待って手にした一足は「自分だけの靴」という特別感があり、イベントなど特別な場で履くと存在感を放ちます。
ただ、納品後にほとんど履けていないので、売ることもできず、リスクはかなり伴うオーダーだと感じました。